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「差し歯」ってどんな治療?前歯に適した被せ物の素材について教えます!

2021.01.25
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差し歯に関するお悩みや疑問

審美歯科ネットでは、審美歯科の相談をボランティアドクターが回答しております。
その中から差し歯についての相談と回答をご紹介いたします。「差し歯についてもっと詳しく知りたい!」という方は参考にしてみてください。

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歯が欠けてしまったり、虫歯で歯を削ったりした場合、歯医者さんに行くと被せ物をして、元の見た目のようにしてくれることがあります。被せ物には歯の破折の規模や使用する素材によって、種類があります。
ここでは被せ物の1つである『差し歯』について、素材別に特徴やメリット・デメリットをご紹介していきます。

差し歯にしたけどなにか違和感がある方やきれいで丈夫な差し歯ってないのかなと探されている方は是非、ご覧ください。

被せ物の種類について・まとめ

金属、プラスチック、セラミックなど、様々な素材でできた被せ物があります。それぞれの素材によって、メリット・デメリットがございますので、被せ物を考えている方や被せ物でお困りの方は、一度かかりつけの歯医者さんにご相談してみてください。

メタルボンド

内側は金属で、表面をセラミックで覆っており、裏側から金属が見えるような被せ物です。
こちらは原則、公的医療保険が適用されないため、自費での治療となります。レジンと比較して、着色汚れが付きにくいです。長期間使用による変色もほとんどありません。内側に金属を使用しているため、強度はありますが、金属アレルギーの方は使用できません。また、天然の歯と比較すると透明感は若干劣ります。

【メリット】

・保険が適用されるため費用が安い(適応範囲は前歯~小臼歯)
・被せ物全体が白いので、前歯などよく見える部分の治療に向いている
・金属アレルギーの心配がない
【デメリット】
・一般的に奥歯に対しては公的医療保険での治療が適応されない
・長期間使用していると材料自体が劣化し、変色を起こすこともある
・長期間使用するとすり減ってくることがある

そもそも、差し歯の構造はどうなっているの?

歯の神経まで到達した虫歯の治療は虫歯菌に溶かされた歯質を大きく削るので、削る量が多くなります。さらに、虫歯菌が到達した神経も取り除く治療が必要です。
たくさん歯質を削り神経を取り除いたままでは、上に歯を被せることができません。そのため、神経があった場所へ「コア」と呼ばれる棒のようなものを差し込んで土台を作り、その上から被せ物をします。
この図のように神経があったところへコアが差し込まれるために、「差し歯」と呼ばれるようになりました。

硬質レジンジャケットクラウン

こちらはすべてレジン(プラスチック)で作られています。前歯~第一大臼歯までは公的医療保険が適用されるため費用が安く抑えられます。また、金属を使用しないため、金属アレルギーの方でも利用できます。
金属アレルギーの方はCAD/CAMと同様大臼歯にも適用になる場合がありますので、歯科医師にご相談ください。

一方で、金属を使用しないため長期間使用する際にはすり減ってくることがあり、強度的には少し弱くなります。また、先ほど同様、レジン(プラスチック)なので変色を起こすこともあります。

保険で前歯を被せた人によくあるお悩み

・見た目による問題
・歯茎が痩せたことにより歯と歯茎と被せ物の間に金属フレームが見えてきた(ブラックマージン)
・金属イオンの影響で歯茎が黒ずんできた(メタルタトゥー)
・プラスチック部分が変色、または着色してきた
・歯の裏の金属部分が気になる
・金属アレルギー

【メリット】

・内側に金属を使用しているので十分な強度がある
・表面はセラミックを使用しているので着色汚れがつきにくい。

【デメリット】
・硬質レジン前装冠と比べて色の調整が行える。
・内側に金属を使用しているので、歯と歯茎の境目が黒く変色することがある
・歯の裏側から金属が見える
・金属アレルギーで使用できない可能性がある
・内側に金属を使用しているので、光の透過性がない
・保険が適用されない

オールセラミッククラウン

素材が全てセラミックでできている被せ物です。

金属を使用しないため、自分の歯に近い透明感で自然な仕上がりとなり、金属アレルギーの方でもご利用いただけます。また、経年劣化や着色にも強いため、変色などが起こりにくいです。

しかし、公的な医療保険が適用されません。
また、セラミックのため、強い衝撃により欠けてしまう事もあるため、奥歯で使用するときにはかみ合わせなどに配慮が必要となります。歯ぎしりや食いしばりがある方は割れる可能性もありますので歯科医師にご相談ください。

【メリット】
・自分の歯に近い透明感があり、より自然な仕上がりになる
・セラミックを使用しているので着色汚れがつきにくい
・金属アレルギーの心配がない
・金属類によってできる歯の根元や歯ぐきの変色がない

【デメリット】
・強い衝撃により欠けたりすることがあるので、奥歯に使用するときはかみ合わせなどに細かい配慮が必要
・保険が適用されない

硬質レジン前装冠

内側は金属で、表面をレジンと呼ばれる白いプラスチックで覆っており、裏側から金属が見えるような被せ物です。

公的医療保険が適用される素材のため、費用が安く、金属を内側に使用することで強度があります。また、表面は白いため、前歯などの治療にも向いています。

その反面、歯の裏側から金属が見えてしまったり、金属により歯と歯茎の境目が黒くなってしまったり、金属アレルギーの方には使用できなかったりとデメリットも存在します。さらに、レジンとセラミックを比較すると、レジンの方が着色しやすく、経年劣化でレジン自体も変色を起こすこともあります。


【メリット】
・保険が適用されるため費用が安い
・内側に金属を使用しているので十分な強度がある
・表面は白いので前歯などの治療にも向いている
【デメリット】
・内側に金属を使用しているので、歯と歯茎の境目が黒く変色することがある
・歯の裏側から金属が見える
・金属アレルギーの方には使用できない
・長期間使用していると材料自体が劣化し、変色を起こすこともある

ジルコニアセラミッククラウン

ジルコニアと呼ばれるダイヤモンドとほぼ同じ硬さの素材を内面に、表面部分にセラミックを焼き付けた被せ物です。
ジルコニアだけでは色の調節が難しいところ、セラミックを焼き付けることにより調整が可能になりました。
経年劣化や変色も起こりにくい素材です。
しかし公的医療保険は適用されません。

【メリット】
・自分の歯に近い色や艶、透明感が出せる。
・金属アレルギーの心配がない。
・変色がほとんど起こらない

【デメリット】
・オールセラミッククラウンに比べて透明感が若干劣る
・強く硬いものを噛んだ時に表面のセラミックが割れる可能性がある
・ジルコニアは硬いため、再治療が必要な場合に取り外しに時間がかかる場合がある
・ほかの素材と比べて費用が高い。


記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。