差し歯について(1)
差し歯とは「被せ物(クラウン)の治療」の一つです。
歯の神経まで到達してしまうような広い範囲での虫歯になると、神経と歯の半分以上を削りとることになります。そうなった時に行う被せ物の治療が「差し歯」です。
なぜ「差し歯」といわれているの?

虫歯になり被せ物をする時、削った歯は被せ物の土台になります。土台はこれから被せる歯の芯の部分となるので強度が必要です。しかし、神経まで到達するような大きな虫歯治療では、多くの歯を削ってしまい、その分土台が小さくなっています。
そのため、神経を取り除くような治療をした時は、代わりに神経が通っていたところへ「コア」と呼ばれる土台の棒を差し込んで接着させ、しっかりと土台を安定させます。このように神経があったところへコアが差し込まれるために、「差し歯」と呼ばれるようになりました。
差し歯ではない被せ物
コアを使用しない被せ物は、差し歯とはいいません。(図1)
虫歯が神経付近まで進行していない場合は神経までとる必要がないため、コアを差し込む必要がないからです。虫歯部分を削りとった後に周りを削り整え、その上から被せ物や、虫歯の範囲が小さい場合は詰め物を装着します。
一方差し歯は、コアにより土台をしっかり作り、その上から「金属」や「セラミック」、「歯科用プラスチック」でできている被せ物を装着します。(図2)

▲図1:被せ物の断面図

▲図2:差し歯の断面図
差し歯に使うコアの種類
「ファイバーコア」
プラスチックとガラス繊維でできています。自由診療なので費用がかかりますが、光が通すので白く透明感があり、審美性と強度を兼ね備えています。
「レジンコア」
プラスチックでできています。こちらは公的医療保険で適用できます。強度はメタルコアより劣りますが、白いため、メタルコアよりも審美性があり、金属アレルギーの方も安心して使えます。
「メタルコア」
金属でできており、審美性はありませんが強度があります。こちらも、公的医療保険が適用できます。