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大人の歯の名前と役割

2018.07.17

子どもから大人へと成長する中で、歯も「子どもの歯」から「大人の歯」へと生えかわります。大人の歯になると噛む力が強くなり、食べ物をより細かく噛みつぶすことができるようになるため、効率的に栄養を摂取することできます。
ここでは、大人の歯の名前や役割について詳しくご紹介致します。

1. 大人の歯、永久歯について

子どもの歯のことを正式には「乳歯」と呼ぶように、大人の歯は「永久歯」と呼びます。乳歯の下にある永久歯が十分に大きくなると、乳歯が抜けて永久歯に生えかわります。永久歯への生えかわりの時期には個人差がありますが、一般的には6歳前後から6、7年かけてすべての歯が永久歯に生えかわります。永久歯は乳歯よりも一回り大きくなり、少し黄色味を帯びて、歯の表面は硬くなります。

1.2 永久歯の本数
永久歯は、一番奥に生える「親知らず」を含めて上顎と下顎でそれぞれ16本、全部で32本あります。ただし、「親知らず」は生えてこない人がいたり、生えてきても正常な向きでないために抜いてしまったりすることが多いため、「親知らず」は含めずに28本とする場合もあります。

2. それぞれの歯の名前と役割

永久歯は生えてくる場所によって名前が異なります。大きく分けると前歯は「切歯[せっし]」、奥歯は「臼歯[きゅうし]」、糸切り歯は「犬歯[けんし]」と呼びます。それぞれ異なった形をしており、咀嚼[そしゃく]や噛み合わせにおいて様々な役割を果たしています。

2.1 切歯
切歯とは、歯列の中央にある前歯のことをいいます。上下左右でそれぞれ2本ずつ、計8本あります。正中にある2対の前歯は中切歯[ちゅうせっし]、その隣の前歯を側切歯[そくせっし]と呼びます。切歯は薄く平べったい形で、上下の歯を噛み合わせることで食べ物を噛み切ったり、ちぎったりする役割があります。切歯は一番目立つ位置にあるため、顔の印象に大きな影響を与える歯でもあります。また、発音においても重要な役割を担っています。

2.2 犬歯
前歯と奥歯の中間にある、手前から3番目の歯を犬歯と呼びます。上下左右それぞれ1本ずつ、計4本あります。犬歯は槍のように尖った形をしており、食べ物にかぶりついて切り裂く役割があります。また、犬歯はほかの歯よりも根が長く、強度があるため、噛み合わせたときに前歯や奥歯にかかる負担を軽減させる役割も担っています。
また、不自然な生え方をしている犬歯は八重歯と呼ばれます。チャームポイントとされる場合もありますが、本来の犬歯の役割が十分に果たされず、歯磨きもしにくいため、歯の健康を守るためには歯列矯正を検討することも大切です。

2.3 臼歯
臼歯とは奥歯のことをいいます。臼歯は食べ物を噛み砕いたり、すりつぶしたりする役割を担っています。臼歯には小臼歯と大臼歯があり、小臼歯は上下左右それぞれ2本ずつの計8本、大臼歯は上下左右それぞれ3本ずつの計12本あります。歯列の一番奥にある3番目の大臼歯(第三大臼歯)は、いわゆる「親知らず」です。また、小臼歯は噛み合わせにおける重要な役割も果たしています。食べ物を噛んだ時、下顎は後方へ若干ずれるのですが、そのとき唯一噛み合うのが小臼歯で、下顎が後方へ下がり過ぎないようにくい止める役割を担っています。
大臼歯は、第一大臼歯・第二大臼歯・第三大臼歯とあり、この3つの歯が上下の歯を噛みしめたときの歯の高さを決め、維持する役割を担っています。とくに第一大臼歯は噛み合わせの安定のために重要な歯といわれています。しかし、6歳前後と一番早くに生えてくる永久歯であり、虫歯になりやすい歯でもあるため、注意して日々のケアを行うことが大切です。

3. 永久歯の構造

永久歯は、口の中で見えている歯の上部にあたる「歯冠[しかん]」と歯茎の中にある「歯根[しこん]」で構成されています。

3.1 歯冠
歯の上部である歯冠は、歯の表面の「エナメル質」、歯の内部の「象牙質」、歯の神経にあたる「歯髄[しずい]」の3つの組織でおもに構成されています。

3.1.1 歯の構造
・エナメル質
歯冠の一番外側にある歯の表面のことをいいます。人間の身体の中でもっとも固い組織です。
・象牙質
エナメル質の下にある歯の大部分を占めている組織です。エナメル質よりもやわらかいため、虫歯がここまで到達すると進行が早まります。
・歯髄
神経と毛細血管が集まっている重要な組織です。神経は様々な刺激を脳へ伝え、毛細血管は、歯に栄養と酸素を供給します。虫歯が歯髄まで進行すると炎症が起こり、常に激しく痛みます。
・セメント質
象牙質を覆っている組織で、象牙質を保護する役割があります。

3.2歯根・歯周組織
歯根は口の中には見えず、歯茎の中にあります。歯冠と同様に象牙質や歯髄があるほか、歯槽骨[しそうこつ]や歯根膜といった組織で守られています。

3.2.1 歯周組織
・歯肉
口腔内の粘膜の一部で、歯根を囲んでいます。いわゆる「歯茎」と呼ばれる部分です。健康な状態では、きれいなピンク色をしています。
・歯根膜
歯根と歯槽骨の間にあり、互いを結び付ける薄い膜のような組織のことをいいます。歯根膜は歯を噛み合わせたときの歯槽骨に伝わる衝撃を和らげるクッションの役割をするほか、噛み応えを感じたり、歯に伝わる咬合力を調整したりする役割もあります。
・セメント質
歯根部の象牙質を覆っている組織で、象牙質を保護する役割と、歯根膜を支える役割があります。
・歯槽骨
顎骨の一部で、歯を支える組織です。歯周病などで歯槽骨が破壊されると、歯を支えることができなくなります。

記事ご協力

北園 ゆり歯科クリニック

院長 高橋 靖子