歯ぎしりで歯が削れる・欠ける!原因や症状、治療法、対策を徹底解説
「最近、朝起きると顎が疲れている感覚があり、睡眠中に歯ぎしりをしているかもと思い始めている。歯ぎしりで歯が削れたり欠けたりする話も聞いたけど、本当?」そんな疑問をお持ちの方も多いです。
歯ぎしりする癖を放置すると、さまざまな悪影響が生じます。今回、歯ぎしりの3つの種類、歯ぎしりで歯が削れたり欠けたりする5つの原因、歯ぎしりで起こる9つの症状、3つの治療法・対策を紹介します。

この記事の要約
- 歯ぎしりは睡眠中に発生することが多いが、集中して物事に取り組む際や、運動中に生じるケースもある
- 歯ぎしりの発生する原因は、ストレス、飲酒、喫煙、遺伝、薬の服用などがある
- 歯ぎしりで歯が削れたり欠けたりするだけでなく、歯周病の悪化、頭痛や肩こり、お口の中の痛み、顔が大きく見える可能性がある
歯ぎしりの種類
歯ぎしりは別名「ブラキシズム(悪習慣)」と呼ばれ、歯と歯が強い力で噛み合わせます。 個人差がありますが、多くの人が睡眠中に歯ぎしりを行っています。
また、多くの方が集中して物事に取り掛かっているときや運動中に歯ぎしりをしています。
歯ぎしりには大きく分けて3つのタイプがあります。
グライディング
上下の歯を噛み合わせ左右にぎりぎりと動かす、一般的に認知されている歯ぎしりです。 多くの人の歯ぎしりはこのタイプで、 睡眠中に無意識に行われ、強い咬む力が加わるので歯や顎への負担が大きくなります。人に指摘され気づくケースが多いです。
クレンチング
クレンチングは、ぐーっと食いしばる(噛みしめる)タイプの歯ぎしりです。歯ぎしりの音がしないため、一緒に暮らしている家族などからの指摘もなく、気が付かないことも多いです。 上下の噛み合わせ面がすり減っている、肩こりがある、エラの部分を押すと痛みがあるなどの症状がある場合、クレンチングかもしれません。グライディングよりも 、何かに集中しているときに行っていることが多いです。
タッピング
上下の歯をカチカチと小刻みに噛み合わせ音が鳴るタイプの歯ぎしりです。同じように音が鳴るグランディングが「ぎりぎり」というのに対し、タッピングは「カチカチ」と鳴ります。
グランディングやクレンチングは、歯に70~100kg程度、一説によると300kgもの負担がかかると言われています。それに比べるとタッピングは歯や顎への影響は少なめとされています。
一人でできる歯ぎしりチェック
自分自身で歯ぎしりを把握するのは難しいですが、歯ぎしりの兆候を理解することが可能です。何もしていない時に上下の歯が接触していたり、歯の表面が異様にすり減っていたり、骨隆起と呼ばれるふくらみが歯茎にみられる場合、歯ぎしりを行っている可能性が高いです。
また、起床した時に顎にだるさや痛み、歯が浮いた感じがする場合、就寝中に歯ぎしりを起こしているかもしれません。
歯ぎしりで歯が削れる・欠ける!5つの原因
歯ぎしりの原因は、解明されていません。この項目で紹介する5つにより歯ぎしりが起きやすいと一般的に考えられています。
ストレス
日常的なストレスによって、歯ぎしりのリスクが高まります。ストレスの影響で歯ぎしりが起きやすいため、日々の生活で極力ストレスを溜めないように務めることが、歯ぎしりへの対策の一つです。
飲酒
飲酒量が多い場合も、歯ぎしりを引き起こす可能性が高くなると考えられています。アルコール摂取量と睡眠中の咬筋の持続活動時間に有意な相関が確認されています。
遺伝
遺伝的な要因も、歯ぎしり発症リスク因子です。遺伝と歯ぎしりの関連は昔から議論されています。
薬の服用
一部の薬品と歯ぎしりの発症が関係すると考えられています。「選択的セロトニン再取り込み阻害剤」を使用した場合、副作用として睡眠中の歯ぎしりが発生する可能性が高まることが示唆されています。
喫煙
喫煙の習慣があると、歯ぎしりを起こすリスクが高まるとされています。受動喫煙で睡眠の質が低下する危険性があるため、間接的に歯ぎしりを起こす可能性が上昇します。
歯ぎしりの症状
歯ぎしりの影響は、お口の中だけでなく、身体全体に多くのデメリットを引き起こします。この項目では、歯ぎしりによって生じる9つの症状を詳しく解説します。
歯が削れる・欠ける・割れる
歯ぎしりの力で歯はダメージを受けます。歯ぎしりは睡眠中に発生することが多く、気づかないうちに症状が進行することも多いです。歯ぎしりが発生する状態が長く続くと、歯が削れ、欠けたりします。
詰め物や被せ物が壊れる
歯ぎしりでダメージを受けた歯は、天然歯だけではありません。虫歯や歯周病を治療するために歯に詰め物や被せ物を入れている場合、歯ぎしりで同様にダメージを受けます。最終的に詰め物・被せ物が破損することもあります。
歯周病が悪化する
上下の歯が長時間にわたって接触していると、歯周組織にもストレスが加わります。強い力は歯周病を悪化させるリスクを高めます。歯周病になった歯への歯ぎしりによる大きな力の負担は無視できません。
顎の関節や咀嚼筋が痛くなる・疲れる
歯ぎしりの強い力で、顎の周囲の筋肉が緊張し、疲労して痛む可能性があります。また、顎関節のクッション的な役割を担う「関節円板」と呼ばれる軟骨が圧迫され、顎を動かす際に痛みが発生するケースもあります。関節円板が圧縮されると、顎がスムーズに動きにくくなり咀嚼する筋肉に疲労を感じることもあります。
頭痛
歯ぎしりの際に機能する筋肉には、頭から顎の横まで繋がっている「側頭筋」も含まれます。歯ぎしりで筋肉に過度のストレスがかかると、「緊張型頭痛」と呼ばれる症状が発生すると言われています。緊張型頭痛は頭痛全体のうち7〜8割を占め、歯ぎしりが頭痛と密接にかかわっている可能性が高いです。
肩が凝る
歯ぎしりの際に機能する筋肉には、頭から顎の横まで繋がっている「側頭筋」も含まれます。歯ぎしりで筋肉に過度のストレスがかかると、「緊張型頭痛」と呼ばれる症状が発生すると言われています。緊張型頭痛は頭痛全体のうち7〜8割を占め、歯ぎしりが頭痛と密接にかかわっている可能性が高いです。
骨隆起(こつりゅうき)ができる
歯ぎしりをする頻度が高い人の場合、骨がこぶのように盛り上がる「骨隆起」と呼ばれるものができる可能性があります。原因ははっきりと判明していませんが、骨が盛り上がっているだけなので基本的にそのままで大丈夫です。ただし、骨隆起が邪魔になって入れ歯などを使用できない場合は、削り取ることもあります。
咬筋(こうきん)が肥大する
歯ぎしりでに使われる筋肉は、顎のえらの部分の「咬筋」です。長期間にわたって歯ぎしりをしている場合は、咬筋が発達し、えらの部分が張り出して顔が大きく見え、審美的な悪影響が生じます。
頬粘膜・舌に圧痕ができる
歯ぎしりで頬の内側を噛んでしまうことがあります。頬粘膜に「圧痕(あっこん)」(白線)が見られます。舌にも圧痕がみられることもあります。
歯ぎしりの治療法・対策

歯ぎしりの自覚は難しいですが、治療法がないわけではありません。以下の3つは、いずれも歯ぎしりの症状を和らげ、改善すると考えられています。
歯ぎしり用マウスピース
睡眠中の歯ぎしりは無意識に起こり、噛む力をコントロールできません。歯ぎしり用マウスピースを使用し、睡眠中であっても歯にかかる力を緩和することが可能です。歯や顎関節を歯ぎしりの過剰な力から保護し、歯がすり減る事態を予防できます。
ボトックス治療
ボトックス注射は、医療用にボツリヌス菌の毒素を緊張した筋肉に注射し、筋肉の動きを抑制する治療法です。ボトックス注射によって咬筋の緊張を緩和し、歯ぎしりを軽減し、発達しすぎた咬筋を小さくし審美面を改善することが可能です。およそ6カ月効果が持続すると考えられています(定期的な注射が必要です)。
お口周りの筋肉のマッサージ
歯ぎしりの癖がある人は、口や顎周囲の筋肉が緊張しています。マッサージによってお口の周りの筋肉の凝りをほぐし、リラックスさせ、歯ぎしりによる顔の凝りを改善させ、小顔効果をもたらし、審美的な改善にもつながります。
まとめ
歯ぎしりの原因は解明されていませんが、ストレス、飲酒、遺伝などの要因が絡み合って引き起こされると考えられています。歯ぎしりを放置すると、歯が削れる・欠ける、詰め物や被せ物が割れる(取れる)、歯周病が悪化するといった問題が起こる恐れがあるため、早い段階で治療を受けることが望ましいです。
歯ぎしりは睡眠中に発生していることが多いため、自分で気づくのが難しいです。歯がすり減っているなどの歯ぎしりの兆候がみられたり、少しでも気になることがある場合、歯科医院で診察を受けることをおすすめします。
【監修歯科医師】

- 歯科医師:古川 雄亮 先生
- 国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事
- 歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加
- 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
[参照URL] https://www.nature.com/articles/s41598-019-51077-0
記事提供
この記事は、株式会社メディカルネット(東証グロース上場)の提供でお届けしております。社内の歯科医師、及び、歯科衛生士、歯科技工士による監修のもと記事の作成を行っております。
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