歯が大きい・顎が小さいと歯並びに影響する?原因や矯正治療について
「歯が大きい」「顎が小さい」と言われ、昔から口元に自信がない。歯が大きい、顎が小さいと言われ、歯並びも悪くなる話も聞いて、不安になった。」そんな悩みをお持ちの方はいませんか。
今回、歯と顎のバランスが合わなくなる2つの理由、歯と顎のアンバランスによって発生しやすい4つの歯並び(噛み合わせ)、歯並びの悪化による5つのデメリット、歯並び改善につながる3種類の矯正治療を詳しく解説します。

この記事の要約
- 遺伝的要因や、食事を含めた生活習慣の影響で、歯と顎のサイズが合わなくなることがある
- 歯と顎のサイズがアンバランスになると、歯並びの悪化を招くことになり、咀嚼効率や発音の悪化、虫歯や歯周病のリスク上昇を含めた複数のデメリットが発生する
- 抜歯が必要になるケースがあるが、矯正治療を受けることによって歯並びの改善を図ることが可能になる
歯が大きい・顎が小さい原因
歯が大きすぎる、小さすぎる状態が引き起こされるのは、以下の2つの原因が考えられます。ともに歯と顎のサイズがアンバランスになる原因の一つと考えられています。
遺伝
歯の大きさや本数は遺伝で決まります。また、顎の形や大きさに関しても、遺伝によって一定の影響を受けます。そのため、顎が小さかったり、歯が大きい親から生まれた子供は、親の顎や歯の状態が遺伝する可能性があると考えられています。
生活習慣や食事
公益社団法人日本歯科医師会が2022年に発表した資料によると、意識調査に対して「子どもの頃から硬い物を食べる習慣があまりなかった」と回答した人の割合は、25.1%でした。硬いものを食べないと顎の発達が促されないため、生活習慣によって歯と顎の大きさのバランスが悪化することは懸念すべきです。
歯が大きい・顎が小さいと歯並びが悪くなりやすい
歯の大きさに対して顎が小さい場合、歯が綺麗に並ぶためのスペースが不足します。生えてきた歯が不自然に並んで凸凹になったりします。
また、歯が顎のサイズに収まらないと、前歯が前に生えて出てくることがある点に注意が必要です。歯並びが悪化した状態を放置すると、顎関節症や虫歯、歯周病のリスクもあるため、何らかの治療が必要になるかもしれません。
歯が大きい・顎が小さい場合になりやすい悪い歯並び・噛み合わせ
歯と顎のサイズが合っていないと、歯並びが悪化しやすいです。歯と顎の大きさがアンバランスになると歯並びが悪くなる5つのケースを紹介します。
叢生(八重歯・ガタガタの歯並び)
叢生(そうせい)とは、歯が重なったりねじれたりすることによって、歯並びが悪くなっている状態を指します。歯が大きすぎたり、顎のスペースが小さいことが理由で、八重歯のような歯列の凸凹がみられます。歯磨きの難易度が上昇するため、虫歯や歯周病のリスクを高めます。
上顎前突(出っ歯)
上顎前突(じょうがくぜんとつ)はいわゆる「出っ歯」で、上顎の前歯が下より前に出る状態を指します。歯の大きさが顎のサイズを超えているか、上顎の骨自体が前に出すぎているのが理由です。前歯で食べ物を噛みにくくなることに加え、口が閉じにくく口呼吸になるとお口の中が乾燥しやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
上下顎前突(口ゴボ)
上下顎前突(じょうかがくぜんとつ)は「口ゴボ」と呼ばれることもあり、上下の前歯が前に出て、口元がふくれて見えます。顎のスペースが狭く、歯と歯の生える隙間が少ないと、前歯が前に向かって傾斜するため、上下顎前突が発生します。見た目に関するコンプレックスを抱き、唇が閉じにくくなって口呼吸になり虫歯や歯周病のリスクも増します。
下顎後退
下顎後退(かがくこうたい)とは、正常な状態よりも下顎が後ろに下がる状態を指します。顎が小さく「下顎がない」と感じる人も該当するかもしれません。特に下顎の成長が悪く、上顎が下顎より相対的に出て、出っ歯になっているケースが多いです。
悪い歯並びのデメリット
歯並びの悪化に伴い、さまざまなデメリットが発生します。5つ解説します。
見た目が悪くなる
歯並びの悪化で、上顎前突、上下顎前突、下顎後退などが起こると、見た目が悪化します。見た目の悪化は相手に与える印象を悪くし、ご自身の見た目のコンプレックスの原因となり、笑顔に自信が持てなかったり、口元を隠して話したりすることになりかねません。
虫歯や歯周病になりやすくなる
歯並びが悪化すると、歯の凸凹によってブラッシングの難易度が上がり、磨き残しが発生しやすくなります。加えて、歯並びが悪いと口呼吸になってお口の中が乾燥しやすくなり、細菌の繁殖を防ぐ効果を持つ唾液の減少を招くかもしれません。結果、歯並びの悪化は虫歯や歯周病のリスクを高めます。
咀嚼効率が低下する
歯並びが悪化すると、上下の歯がきちんと噛み合う場所が少なくなります。その影響で、食べ物を前歯で噛み切ったり、奥歯で噛み砕くことが難しくなり、咀嚼効率が低下します。食べ物が大きな塊のまま消化器官に送られ、胃や腸のような消化器官に対して大きな負担がかかるかもしれません。
発音しにくくなる
歯並びが悪化し歯と歯の隙間が大きくなったり、上下の前歯が噛み合わなくなったり、上下の噛み合わせが前後逆になっている場合、サ行など特定の音を発音することが難しくなるケースがあります。また、歯並びの影響で舌の動きが悪くなることもあるため、そういった場合も発音に問題が生じる点に注意が必要です。
顎関節症のリスクが高まる
顎関節症とは、顎の関節に問題が発生し、口を開けにくくなったり、顎関節部に痛みや音が鳴る症状です。顎関節症にはさまざまな原因が絡むと考えられ、歯並び(噛み合わせ)の悪化も顎関節症のリスクを高める原因かもしれないと考えられています。
歯が大きい・顎が小さいと抜歯が必要なケースが多くなる

顎のサイズに対して歯が大きすぎると、正常な位置に歯を並べるスペースの確保が困難です。抜歯により矯正治療が可能になることもありますが、計画的な抜歯が必要です。
抜歯の際、「第一小臼歯(だいいちしょうきゅうし)」と呼ばれる、前から4番目に位置する歯を抜くケースが大半です。抜歯後は顎の骨格に合わせて歯列を整え、顎のサイズに適合したバランスの良い状態となるように歯並び(噛み合わせ)を調整します。
矯正治療の種類
歯並び悪化後でも、矯正治療によって症状改善を図ることが可能なケースも多いです。歯並びを改善するために用いられる矯正治療の種類としては、主に以下の3種類です。
表側矯正(ワイヤー矯正)
表側矯正は歯の表側に「ブラケット」と呼ばれる装置を取り付け、ワイヤーを通すことで歯を動かしていく治療法です。歯列矯正のポピュラーな治療方法で、対応できる症例が多いです。
一方、ブラケットとワイヤーが歯の表側に位置するため、目立ちやすい点がデメリットです。治療費の相場は患者さんの状態や歯科医院によって異なります。歯列全体矯正の場合は60〜130万円が目安です。
2025年5月 株式会社メディカルネット調べ
裏側矯正(ワイヤー矯正)
裏側矯正は表側矯正とは異なり、歯の裏側にブラケットを装着してワイヤーを通し、歯を動かす治療法です。表側矯正とは異なり、歯の裏側にブラケットやワイヤーが位置するため、目立ちにくいです。また、多くの症例に適応が可能です。
裏側矯正は高度な治療技術が必要になるため、対応できる歯科医院が限られます。また、歯列全体の矯正の費用の目安は100〜170万円と、表側矯正よりも高額になりやすい点にも注意が必要です。
2025年5月 株式会社メディカルネット調べ
マウスピース矯正
マウスピース矯正はマウスピース型の装置を着けて歯を動かし、歯並びを整えていく治療法です。マウスピース矯正で使用する装置は透明であり、他の人に矯正中であると気づかれにくくなります。また、治療中の取り外しが可能なため、歯磨きや食事の際に邪魔にならず、虫歯や歯周病のリスクを軽減できます。
2025年5月 株式会社メディカルネット調べ
矯正治療の種類
歯が大きすぎたり、顎のサイズが小さくバランスが悪いと、歯が生えるスペースが不足し歯並びが悪くなります。歯並びが悪化すると、虫歯や歯周病リスクが上昇したり、噛み合わせや発音が悪くなったり、顎関節症を引き起こす可能性があります。
歯並びの悪さは矯正治療によって改善が可能です。歯並びが悪いといった理由で悩んでいる人がいれば、歯科医院に相談し、最も適切な治療方法が何かを確認することをおすすめします。
【監修歯科医師】

- 歯科医師:古川 雄亮 先生
- 国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事
- 歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加
- 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
[参照URL] https://www.nature.com/articles/s41598-019-51077-0
記事提供
この記事は、株式会社メディカルネット(東証グロース上場)の提供でお届けしております。社内の歯科医師、及び、歯科衛生士、歯科技工士による監修のもと記事の作成を行っております。
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