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セラミック矯正のメリット・デメリットとは

「歯並びを整えたいけれど、矯正治療は時間がかかりそう」「痛いって聞くし…」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そんな方は矯正治療の中でも「セラミック矯正」を検討してみませんか?

セラミック矯正であれば、歯を動かす歯列矯正に比べて短期間に、なおかつ周りの人に気付かれることなく歯並びを改善することができます。
歯の色や形を選択することも可能です。

ですがセラミック矯正にはデメリットもあり、十分に考慮してから治療を受けることが大切です。

治療後に失敗した、やらなければよかったと後悔しないために、メリット・デメリットについて確認してみましょう。

掲載日:2021/7/12

セラミック矯正のメリット・デメリットとは

そもそも「セラミック矯正」とは?

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一般的に矯正治療というと、ワイヤーや矯正装置を使って歯の位置を時間をかけて動かしていく「歯列矯正」という治療方法を思い浮かべる方が多いでしょう。
近年ではワイヤーを目立ちにくい裏側(舌側)に通したり、目立つ上の歯は裏側で、下の歯は表側といったコンビネーション矯正、さらにはワイヤーを使用せず、 透明で目立ちにくいマウスピース矯正も人気となっています。

そもそも歯は実際に口の中に見えているのは1/3程度で、残りの2/3は俗に「根っこ」と呼ばれて、 歯茎や顎の骨の中でしっかり歯を支えてくれているのです。物を噛んだり、食いしばったりできるのは、この「根っこ」がしっかりしているからなのです。

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本来の歯列矯正とは、この歯の根っこごと、全体的に歯を動かす事を指します。

それに対し、セラミック矯正とは本来の矯正治療ではなく、正しくは「審美補綴=しんびほてつ」と言います。
歯を小さく削り、そこに歯科医師が個々に合ったデザインのセラミック(公的医療保険の効かないキレイな差し歯)を入れて、あたかもキレイな歯並びになったように見せかけるテクニックです。

本来の歯列矯正とは全く違うものなのですが、結果的に歯並びがキレイになるので、美容外科さんが主体となって広めた造語なのです。

ですので、「矯正歯科の学会」で提唱している、歯や顎の骨に力をかけてゆっくり動かして、歯並びと噛み合わせを治していく矯正治療とは異なる 手法ですし、場合によっては健康な歯を削る事もあるので、倫理的な面で歯科医師によっても賛否両論のあるテクニックなのです。

では、セラミック矯正は健康な歯を削る悪いものなのかと言われれば、一概にそうではありません。
一番重要なのは、患者さんの個々の現在の歯の状態、今後の人生のプラン等を総合的に判断してメリット・デメリットをきちんと理解して、施術を受ける事が重要なのです。

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歯並びが原因による出っ歯や口ゴボの治療も短期間で終わらせることができますよ。

また、長い期間装置を付けている必要がないので、歯科医院への通院も最短2回で終了することも。

このようにメリットが多く見えるセラミック治療ですが、実はデメリットも多くあるのです。

セラミック治療もいいかも?と思った方は、まずはメリット・デメリットをしっかり理解するようにしましょう。

セラミック矯正のメリット

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まずはワイヤー矯正やマウスピース矯正と比べて、セラミック矯正のメリットを見ていきましょう。

短期間で治療できる事が多い

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ワイヤー矯正やマウスピース矯正では基本的に1〜3年以上の期間をかけて歯並びを整えますが、セラミック矯正は短期間で治療を終わらせることができます。
セラミック治療を行う歯の本数によっても異なりますが、最短2回程度の通院で治療が完了することも。

治療する歯の本数が多い場合でも、おおむね6ヵ月以内に治療が終わる歯科医院が多いようです。
セラミック治療は歯を削りセラミックを被せることによって見た目をきれいにする治療であり、歯の根を動かすわけではないので短期間で終わるのです。

ですので、「結婚式が〇月にあり、何としてでもそれまでに歯をキレイにして欲しい」とか、「仕事で稼げる時期が短いので、 できるだけ短期でキレイにして欲しい」とか、性格的に3年もかかるのは無理という方には、適しているのではないでしょうか?

虫歯の治療と並行して歯並び治療できる場合がある

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一般的に矯正治療は虫歯など他の治療を終えてから始めますが、セラミック治療の場合は虫歯の治療も並行して行うことができるため、虫歯がある場合でもすぐに治療を始める事ができます。

また虫歯の進行度合いでは、治療を終えると、銀歯や詰め物の跡が大きく目立つ場合があり、その後に歯列矯正を行っても歯並びだけは良くなったが、 銀歯や詰め物が目立ち、結局はそこをセラミックにしなくてはならず、お金と手間が二重にかかる場合もあります。

そういった場合は一気にセラミック治療を行った方が、結果的に早く、安く、キレイにとなる場合もあります。
また、虫歯が極端に進行している場合は、虫歯治療を行ってからではないと歯列矯正で歯を動かすことは難しいでしょう。 しかしセラミック治療ではブリッジやインプラントを併用して、歯をキレイにする事も可能です。

持続的な痛みが少ない

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「矯正治療は痛い」とよく耳にしますが、それは歯の根っこを動かすために力を加えていることが主な原因です。
歯の根っこを動かす必要のないセラミック治療では持続的な痛みはありません。

ただし、歯を削る事による痛み、神経の処置に伴う痛み、抜歯による痛み、など、全く無痛というわけには行きませんが、比較的、長期にわたる痛みが少ないのも特徴ではないでしょうか。

痛みの感じ方には個人差があり、やはり耐えられない方も少数ながらですがいらっしゃいます。 もともとマウスピース矯正を予定していて、事前に歯を4本抜き、さあいよいよ矯正スタートとなっても、毎日の痛みに耐えかねて「セラミックで治療をお願いします」 と別の治療をされた方もいらっしゃいます。

後戻りしにくい

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歯列矯正は、歯を理想的な位置へ動かしてもその後の保定(元の位置に戻らないように固定すること)ができていないと「後戻り」をしてしまうことが。

セラミック治療はそもそも歯の根っこを動かす治療ではないため、後戻りするという心配が少ない治療方ではあります。また、後戻りを防ぐための装置を着用する必要もないのです。

また、噛み合わせによって、歯が動きそうな場合には、複数本の歯を連結して作成(と言っても他人が見たら1本ずつにしか見えないように仕上げます) したりするテクニックもあります。

歯の色や形を選べる

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セラミック治療の最大のメリットはここではないでしょうか。
削った歯に被せる被せ物の色、形を選ぶ事ができるので、理想の歯の色や形に近付けることができます。

自分自身の歯が大きいのが悩みの方、歯に虫歯の治療跡が多数ある方、銀歯が多い方、ホワイトニングで解決できない色の歯をしている方。
このような方は「歯列矯正」のみを行っても歯並びは改善したが、歯自身がキレイでないと、満足する結果となり得ない場合があり二重に出費がかかる場合もあります。

セラミック治療を行っている医院にもよりますが、セラミックには色が多数あるため、自然な歯の色から芸能人のような真っ白な歯まで選ぶことができます。
医院によっては歯科技工士(セラミックで色を再現してくれる職人さん)立ち合いのもと、グラデーションなどをかけたオーダーメイドの色を作ってくれる所もあります。

また、プランによってはセラミックの形を調整することもできますので、もっと丸い歯にしたい、もっと角ばった歯にしたいといった要望もできます。

ただし数本のみのセラミック治療の場合は、周りの自分自身の歯と調和がとれる形を選ぶ、ホワイトニングを併用するなどして、自然な口元にするうえでは大切ではないでしょうか。

治療していることが目立たない

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「矯正治療をしていることを周りに知られたくない」「口に装置を付けていると目立ちそう」と懸念する方も多いでしょう。

セラミック治療ではワイヤーなどの装置を付けて生活する必要がないため、治療していることが目立ちません。

歯を削ってから被せ物を被せるまでの間も「仮歯」を装着することで、周りの人から歯の治療中だと気付かれにくい状態にすることができますよ。

セラミック矯正のデメリット

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たくさんのメリットがあるセラミック矯正ですが、デメリットもあります。

セラミック矯正は後から元に戻すことはできないため、後悔しないためにもデメリットもよく知っておきましょう。

健康な歯を削る

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セラミックの被せ物を被せるにはまず歯を大きく削らなければなりません。
自分自身の歯を土台として被せるため、自分自身の歯が小さくなります。

小さく削られた歯は元に戻ることはなく、削ることによって弱くなる場合もあります。
弱くなった歯は歯の根が割れてしまったり、欠ける、折れてしまう可能性も。
最悪、その時は状態がよくても、数十年後に抜歯となる場合もあります。

神経を取る、抜歯する

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悪い歯並びや噛み合わせ の改善をする場合、歯を大きく削る必要があり、神経までの距離が近くなるため、神経を取り除く必要があります。 もちろん全く神経を抜かずに治療する事もできますが、その分歯を削る範囲が小さくなり、希望通りの歯並びにすることができない可能性があります。

神経を取り除くと歯の強度が弱くなり、大きな力がかかる奥歯や、歯軋りをする方は、歯が割れるリスクが高まり、自分自身の歯を長く使うのは難しくなってしまう事もあります。
また、セラミック矯正では歯の根っこの位置を変えることができないため、希望の歯並びからずれている歯は抜歯する事もあります。

咬み合わせが改善されない

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歯を動かす矯正治療ではないため、元の歯並びによっては噛み合わせが改善しないケースもあります。
また、骨格性の出っ歯や口ゴボの治療はセラミック矯正では難しいでしょう。

将来的に歯に問題が起きる可能性がある

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歯を削ったり神経を取ったりすることで土台とする歯が弱くなって欠けたり、歯の根の先に病巣ができてしまう可能性も。

セラミック自体は経年劣化しにくい素材と言われていますが、衝撃にはやや弱く、割れてしまったり欠けてしまうこともあります。
また日々の食事の小さな傷や、噛み合わせや歯ぎしりによるすり減りが原因で再治療が必要になることも。ですので、セラミックに対して保証が付いているか否かも大切になります。
保証の有無、保証が適用されるケースなど事前にしっかり確認しましょう。

ほかにも、年齢が上がるにつれて歯茎が下がり、被せ物と自分自身の歯との境目がはっきり見えてしまうかもしれません。
オールセラミッククラウンであれば、セラミックのふちから金属が見えてしまうことはありませんが、被せ物をしていることはわかってしまいます。

継続的に費用がかかる事がある

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上記のように、セラミックの被せ物が割れてしまったり欠けてしまった場合、土台の歯に問題が起こって治療が必要な場合、 セラミックがすり減ってしまった場合などには再度セラミックの被せ物を作製しなおす必要があります。
もちろん保証が付いているのであればその保証内で作り直してくれるはずです。

また、これはセラミック治療に限った事だけではありませんが、メンテナンスとして、歯石を取ったりするのに年に数回ほど、数千円の出費が必要です。

セラミック矯正は一生モノではない

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歯列矯正は、後戻りしてしまった場合や理想の口元にならなかった場合に再治療をすることはあるものの、基本的には一度の矯正治療で終わります。

一方セラミック治療は、希望する通りの治療を受けられた場合でも、再治療が必要となるケースが少なくないのです。

一度入れたセラミックは壊れなければ一生物なのですが、審美的に一生物かと言われれば、それはNOです。
例を出すと分かりやすいのが、お肌のシワです。老化には個人差があると言えども、20歳の時のお肌と、50歳のお肌とでは、少なからずシワは増えます。
これが「お口」で言う所の歯茎の痩せなのです。

セラミックを入れたての時点では、歯茎とセラミックの間はほぼ隙間は無く、自然に歯が生えているように見えます。ただ、歯茎が痩せるとだんだんご自身の自歯が見えて来て、 セラミックと歯茎の間に自歯が見える、「ツートンカラー」状態となります。髪の毛でいうプリンの状態です。
もちろん1年や2年でそのような状態になる事はほぼありませんが、10~20年程度経過すると、少なからずこの「ツートンカラー」が出没し始めます。

ですので審美的な面を非常に気にかける方であれば、セラミック治療を人生で何回か再作製される方もいらっしゃいます。

セラミック矯正は危険?

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歯科医師が「セラミック矯正は絶対にやめたほうがいい!」「患者さんのことを考えていればセラミック矯正はありえない!」と強く否定していることもあるセラミック矯正。

本当にセラミック矯正は受けてはいけないのでしょうか?

セラミック矯正のメリット・デメリットをよく理解し、「自分にはセラミック矯正のデメリットよりもメリットの方が大きい」と判断したうえで行うのであれば問題ありません。

ただしセラミック矯正を行う場合は、歯は見た目だけでなく咬み合わせなどの機能性も非常に大切であること、将来的なデメリットなどをよく理解しておきましょう。

短期間できれいな歯になるという点を魅力に感じて、デメリットを知らずに気軽に治療を受け後悔しているという患者さんも残念ながら少なくありません。

聞いていなかった、知らなかったと思ってもお口の中を戻すことはできないのです。

セラミック矯正を受ける時のポイントはメリットだけを説明する歯科医院ではなく、 患者さん一人ひとりによって起こり得るデメリットや将来的な問題も説明してくれる歯科医院を選ぶことです。

また、セラミックの被せ物や歯にトラブルがあった時の対応についても事前に教えてくれる歯科医院だと安心して治療が受けられるかもしれませんね。

まとめ

他の人から気付かれずに短期間で綺麗な歯並び、歯の色、形になりたい方、お口元のコンプレックスが強い方は検討してみてはいかがでしょうか。

セラミック矯正に興味があるかたは、一度セラミック矯正のカウンセリングを受けてみるのもおすすめですよ。

この記事をメリットだけでなく、デメリットもよく理解し、将来のことも含めて自分自身の理想に適しているかどうかをよく確認するきっかけにしてみてくださいね。

【監修歯科医師】

記事提供

この記事は、株式会社メディカルネット(東証グロース上場)の提供でお届けしております。社内の歯科医師、及び、歯科衛生士、歯科技工士による監修のもと記事の作成を行っております。

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