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きれいに型とりするための処置「歯肉圧排」

虫歯の治療が終わり、いよいよ型とりをするという段階で、歯茎を押されて痛い思いをしたことはありませんか?きれいな被せ物を作成するために、 歯と歯茎の間に細い糸を入れ、歯と歯茎の隙間まで繊細に型とりをする「歯肉圧排」とういう方法があります。
では、なぜきれいに型とりをするためには、歯肉圧排という手法が必要となるのでしょうか?歯肉圧排を行う利点、具体的な手順といった要素を紹介します。

掲載日:2021/2/2

きれいに型とりするための処置「歯肉圧排」

歯肉圧排とは

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画像引用: oralstudio

歯肉圧排は圧排糸と呼ばれる細い糸使って歯茎を圧排(歯茎を押し出し、排除すること)を行い、 削った歯を綺麗に型とりするために一般的に行われる手法です。その目的としては、以下のようなものが挙げられます。

・歯茎の損傷を避ける
・歯と歯茎の境目まで印象をとるための材料が入り込むようにし、精密な型とりをする
・歯茎からの出血等による、印象材・装着材料への影響・汚染を予防する
・被せ物を装着する際に、歯肉等との適合性の確認を容易にする
・歯肉縁下へ余分なセメントが入り込まないようにする

歯肉圧排には、1本の糸を用いる「シングルコードテクニック」、糸を2本使う「ダブルコードテクニック」、 糸を1本も用いない「歯肉圧排ペースト」という、3種類の技法が存在し、歯茎の状態等によって、糸の本数や太さを使い分けて行います。

きれいに型とりをするための処置

歯肉圧排を行う大きな理由は「より綺麗な型とりを行うことができる」ということです。処置時に圧排糸を挿入することにより、歯と歯茎の間を少し広げることができます。 それによって、被せ物と歯が適合する部分を精密に型とりすることが可能となり、被せ物を作る歯科技工士が明確に把握することができるのです。
歯科医師の丁寧な処置によって歯科技工士がさらに精度の高い被せ物を作成することにつながります。

歯肉圧排のやり方

歯肉圧排では、圧排糸と呼ばれる細い糸を、患者さんの歯の周囲の長さに合わせて切り取り、歯と歯茎の隙間を広げるようにして押し込んでいきます。
この際、歯と歯茎の隙間に糸を入れるため器具で押されるような痛みがあったり、歯茎に少し傷がついていると痛みを感じてしまう事があります。

また、歯茎から出血している場合は、圧排糸に止血剤を含ませておき、同時に止血を行います。 出血していると型とりをするための材料に血液がついてしまい、精密な型とりができないため止血も大切な工程です(場合によっては麻酔を行って止血することもあります)。

基本的には型とりをする直前まで歯と歯茎の境目に糸を入れ歯肉圧排をしておき、取り除いたらすぐに型とりするための材料を盛ります。 唾液や血液が入らないようにすることも精密な型とりをするうえで大切です。
時間が経つと押された歯茎が元に戻ってきてしまうため素早い型とりが必要となり、患者さんの協力が欠かせません。
歯と歯茎の隙間まで精密に型とりができていないと、被せ物の適合が悪くなったり、被せ物と歯茎の隙間から再度虫歯になるリスクが上昇してしまうため、 歯肉圧排は大切な処置とされています。

きれいな被せ物とは

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どれだけ見た目が綺麗であっても、それだけでは良い被せ物にはなりません。この用途に使われる被せ物にとって最も大事な要素は、「適合の良さ」となるからです。
この場合の「適合がいい」という表現は、歯に被せ物がぴったりとはまるかどうか、患者さんの歯茎と被せ物の隙間の有無や、唇や舌と被せ物が過度に接触しないなどです。
患者さんにとっては、歯の白さや形など被せ物の見た目が非常に重要になりますが、再度虫歯にならないようにするため、 また、長く被せ物を使えるようにするために、歯科医師は土台と被せ物の関係や、ほかの歯と被せ物の関係などを重視して調整します。

良い被せ物できれいな歯に!

歯肉圧排は糸を歯と歯茎の境目に入れ、歯茎を押して排除するため、痛みを感じやすい処置といえます。できれば歯肉圧排を回避したいと考えている方もいるかもしれません。
しかし、患者さんの治療部位に適した被せ物を作成することが、虫歯の再発を予防し、長くきれいな被せ物を使えることに繋がります。

型とりは、事前準備やより精密な型とりをするために時間がかかったり、複数回型とりをするケースも。歯肉圧排の痛みや、 型とりするための材料による息苦しさで動いてしまうと精密な型とりができなくなることがあります。
型とりには患者さんの協力が欠かせません。強い痛みや型取りなどで違和感を感じていれば歯科医師や歯科衛生士に伝えてくださいね。

【監修歯科医師】

総監修 歯科医師:古川 雄亮 先生
  • 歯科医師:古川 雄亮 先生
  • 国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事
  • 歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加
  • 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
    [参照URL] https://www.nature.com/articles/s41598-019-51077-0
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記事提供

この記事は、株式会社メディカルネット(東証グロース上場)の提供でお届けしております。社内の歯科医師、及び、歯科衛生士、歯科技工士による監修のもと記事の作成を行っております。

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