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スケーリング・ルートプレーニングとは

歯周病の予防や、歯周病が進行してしまった場合に行う歯周治療。
歯周病が進行すると口腔外科で大掛かりな治療が必要になると思われがちですが、お口の中の状態によって治療はどのように異なるのでしょうか?
「スケーリング」と「SRP(スケーリング・ルートプレーニング)」についてご説明します。

掲載日:2021/4/15

スケーリング・ルートプレーニングとは

歯周治療とは

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歯科医院では、歯周病の疑いがある場合、まずは検査によって歯周病の進行度を調べます。
歯と歯茎の境目にある「歯周ポケット」の深さの測定や、出血の有無、プラーク(歯垢)の付着の具合など、さまざまな検査によって歯周病の程度を把握し、 治療計画を立てて歯周治療を行っていきます。

日々の歯磨きでプラーク(歯垢)が落とせていないと、プラークが時間の経過とともに歯石へと変化し、歯磨きでは取り除けない状態になります。
プラークや歯石には細菌が含まれており、細菌によって歯茎が炎症を起こして腫れたり、歯周病が進行すると歯を支えている歯槽骨が溶けるため、歯周ポケットが深くなってしまうのです。

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そのため歯周治療では、まず歯磨き指導と歯冠(歯の白い部分)・歯根表面のプラークおよび歯石の除去を行うことから始まります。
この歯石取りを行う行為を歯科では「スケーリング(scaling)」や「ルートプレーニング(root planing)」といい、 2つの治療を併せて行うことを「スケーリング・ルートプレーニング(SRP)」と呼んでいるのです。

日々の歯磨きと、治療によるプラーク・歯石除去で歯茎の状態は良好になりますが、 それでも深い歯周ポケットが残っている場合には、歯周外科治療と呼ばれる大掛かりな歯周治療を行うこともあります。

スケーリングとは

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歯科医師または歯科衛生士がスケーラーと呼ばれる専用器具を使って、 歯磨きでは除去できない歯肉縁上歯石(歯茎よりも上にある歯石)などを除去します。スケーラーの中でも手用スケーラーや超音波スケーラーなどの種類があります。 歯周病治療で一般的に行われる治療です。

手用スケーラーは刃が付いた器具であり、歯や歯茎を傷つけないよう歯一本一本に対して丁寧に手作業で歯石除去作業を行います。
一方、超音波スケーラーは刃が付いていないため、超音波と水を出しながら歯石に当てていくことで、超音波の力により歯石除去が行えるといった違いがあり、歯石の付着度や部位によって使い分けられます。

SRPとは

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SRPは、「スケーリング・ルートプレーニング」の略称です。

スケーリングでは歯に付着した歯石を除去しますが、ルートプレーニングは歯の表面を滑らかにする処置です。

歯根面にプラークが付着することで歯周病菌に汚染されたセメント質ができてしまい、歯茎が歯根の表面にくっつかず、歯周ポケットが改善されにくいままになってしまいます。

そこで、器具を使って汚染セメント質を取り除き、歯根(ルート)の表面をツルツルとした滑らかな状態(プレーン)を目指すのがルートプレーニングです。

ルートプレーニングは、歯周ポケットにスケーラーを入れるため、目視ができず手指の感覚で行う処置で難易度が高いです。
やりすぎにより、知覚過敏や歯の中を通っている神経露出が起こるリスクがあります。

また、近年のヨーロッパの考え方では、汚染セメント質は存在しない、スケーラーで削り取ると歯にダメージを与えるという考え方もあります。
歯科医師の考え方により処置の内容が異なる可能性もあります。

歯周治療のリスク

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スケーリング後には、歯茎の状態によって一時的な出血があります。治療から数十分で止血することがほとんどです。
出血が止まらないようであれば歯科医院に相談してください。

また、歯と歯のすき間が「ブラックトライアングル」や「ダークトライアングル」などと呼ばれ、 審美的に気にする方もいらっしゃいますが、歯周病が進行してしまうと歯茎が退縮し、歯の逆三角形の構造上、ブラックトライアングルを避けることは難しいとされています。

その他、スケーリングやSRPを行った後は、知覚過敏の症状が現れることもあります。
今まで歯の表面を覆っていた歯石や歯根のセメント質が除去されて、刺激に敏感になるためです。

一般的に、SRP後の知覚過敏は数日で落ち着くため、冷たいものや熱いもので刺激しないようにしておきましょう。

歯周治療は必要な治療です

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プラーク除去や歯石除去と聞くと、歯のクリーニングであり、緊急性や必要性はあまりないように思われるかもしれません。

しかし、スケーリングやルートプレーニングによる歯石除去は、口腔内を清潔に保つために必要な歯周治療なのです。
歯周病はサイレントディジーズと呼ばれる疾患で、痛みや腫れの症状もなく進行して行くので、定期的に歯科医院に行くことをお勧めします。

定期的通院による歯石除去、歯周病の予防に大きく貢献します。
一番大切なのは、セルフケアです。日々しっかりと歯磨きを行い、プラークを付着したままにして歯石が付かないようにすることです。

特にSRPなどの処置後は、歯石が再付着しないよう、毎日の歯磨きでプラークをしっかり取り除きましょう。

歯石が気になる、歯茎が腫れてる、出血しているなどお口の中に異変があれば、まずは歯科医院で歯周病の検査を受けてみてはいかがでしょうか。

【監修歯科医師】

総監修 歯科医師:古川 雄亮 先生
  • 歯科医師:古川 雄亮 先生
  • 国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事
  • 歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加
  • 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
    [参照URL] https://www.nature.com/articles/s41598-019-51077-0
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記事提供

この記事は、株式会社メディカルネット(東証グロース上場)の提供でお届けしております。社内の歯科医師、及び、歯科衛生士、歯科技工士による監修のもと記事の作成を行っております。

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